Googleのカスタマージャーニー分析ツール The Customer Journey to Online Purchase について

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Google Think Insightにある「The Customer Journey to Online Purchase」は、国別や業界別にオンライン上でのカスタマージャーニーがどのようになっているかの概要を知ることができるツールです。インターネット施策のマルチチャネル分析の参考として利用できます。

大きく3つのツールに分かれています。

  1. 購入までの接触チャネルとその役割
  2. 購入までの日数とステップ数
  3. 各国、各業界のカスタマージャーニー比較ダッシュボード

追記。「The Customer Journey to Online Purchase」は、2017年に提供終了しております。

購入までの接触チャネルとその役割

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ユーザーは、商品を購入したりお問い合わせに至るまでに、さまざまなチャネルやメディアに触れます。それらのチャネルを、いわゆるマーケティングファネル(購入ファネル)に当てはめて、どのチャネルがどの段階で接点を持ちやすいのか、どのチャネルが意志決定に寄与しやすいのか、というようなことがわかります。業界や国ごとに見ることができます。

ここで登場するファネルは、次の4つのステップです。

ファネルの4つのステップ

  1. Awareness(認知)
  2. Consideration(検討)
  3. Intent(意向)
  4. Decision(決定)

「Awareness(認知)」「Consideration(検討)」「Intent(意向)」までを「Assist Interaction(アシストの役割)」、「Decision(決定)」のステップを「Last Interaction(終点の役割)」、と位置づけています。

チャネルごとに表示される数値は「アシストや終点の役割を示す指数(assist/last interaction ratio)」のことです。分母をLast Interaction、分子をAssist Interactionとした数値です。以下のような意味を持ちます。

指数「アシストや終点の役割を示す指数(assist/last interaction ratio)」の意味

  • 数値が1より大きいほどアシストの役割が大きい
  • 数値が0に近いほど終点の役割が大きい
  • 数値が1に近いほどアシストと終点の両方の役割を持つ

業界は、執筆時では以下のものが選択できます。

選択できる業界

  • All Industries(すべての業界)
  • Biz(BtoB)
  • Classified/Local(地域向けビジネス)
  • CPG(消費財)
  • Edu/Gov(教育機関/公的機関)
  • Health(健康)
  • Media(メディア)
  • Retail(小売り)
  • Tech(テクノロジー)
  • Travel(旅行)

購入までの日数とステップ数

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The Customer Journey to Online Purchaseの中程にあるツールは、どれぐらいの日数やステップ数を経て「決定」に至っているか、を知ることができるツールです。日数やステップ数ごとの平均注文額(Average Order Value – AOV)や合計購入額、購入に1日(あるいは1ステップ)以上をかけたユーザーの割合がわかります。

各国、各業界のカスタマージャーニー比較ダッシュボード

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下部にある3つめのツールは、各国や各業界のカスタマージャーニーが比較できるダッシュボードです。他業界とのカスタマージャーニーや購入日数などの比較が、クリックで容易にできます。

データソースはGoogleアナリティクスのコンバージョンデータ

データソースは、2012年の第4クオーターのGoogleアナリティクスのデータを元にしているようです(執筆時)。日本のものに関しては、2,000プロファイルの約2,000万件のコンバージョンが対象になっている模様。

総合的に判断するに、Googleアナリティクスのアカウント設定のデータ共有設定で他のGoogleサービスとの共有を許可しているものが対象と思われます。おそらく設定されているすべてのコンバージョンが対象になるはずです。お問い合わせ完了や購入完了といった一般的なコンバージョンポイントだけでなく、「特定ページ閲覧」や「PDFダウンロード」など、各サイトが自由に設定しているものも含まれていると思われます。

このツールをどう扱うか

カスタマージャーニーが把握できるとはいうものの、「その業界において各チャネルはどういう役割か」のざっくりとした概要がわかるものであり、一つのチャネルは一度しか登場しないような非常に簡易的なものです。チャネルもオンラインのものに限られており、カスタマージャーニーというよりもその業界における各チャネルの役割把握に限定されていると言えます。また、元となるデータも、日本に限れば非常に少なく、あくまで業界の一例としてとらえるのがよいでしょう。

The Customer Journey to Online Purchase – Think Insights – Google