中規模から大規模のトラフィックを集めるサイトをGoogleアナリティクスで計測していると、Googleアナリティクスのいくつかの制限の影響を受けるようになります。その一つが、[行動>サイトコンテンツ]の「すべてのページ」レポートで「(other)」の項目が登場することです。
今回は、この「(other)」を「すべてのページ」レポートからできるだけ回避する方法を紹介します。
1日のデータ件数が50,000件を超えると、残りは「(other)」に集約される
Googleアナリティクスは、1日に計測可能なデータ件数に制限を設けており、1日のデータ件数が50,000件(※)を超えると、残りのその日の計測データはすべて「(other)」に集約する、という仕様があります。すべて、です。「(other)」のデータが大きければ、分析するには不適切なレベルになります。
※プレミアム版では1日75,000件まで
[行動>サイトコンテンツ]にある「すべてのページ」レポートでも同様です。その日1日に計測するページURLが50,000件を超えると、その日のそれ以降に閲覧されたページはすべて「(other)」に集約されます。ページURL単位でカウントされるため、例えば「/」「/index.html」「/?cid=aaa001」は実質同一のページですが、計測されるページURLとしては3件となります。
ページURLが「(other)」に集約されると、現状把握や効果測定に支障をきたしてきます。どういったコンテンツがどれだけ閲覧されたか、どれだけランディングページとして流入されたかなどの数値が不正確になります。
データ件数の制限については以下を参照。
これは「すべてのページ」レポートに限ったことではなく、「すべてのトラフィック」「キャンペーン」「キーワード」など、あらゆるレポートで1日のデータ件数50,000件の制限は設けられています。
ポイントは「計測URLの集約」
中規模から大規模サイトのように大量のページURLが存在するサイトの場合、「(other)」を「すべてのページ」レポートから回避するには、「計測URLを集約する」という意識を持つ必要があります。ポイントは、以下の3つです。
- URLを正規化した状態で計測する
- 分析上不要なURLパラメータを除去して計測する
- ページ単位での計測が不要なコンテンツは集約計測する
ポイント1. URLを正規化した状態で計測する
計測URLを集約する方法の一つは、できるだけURLを正規化した状態で計測する、というものです。
例えば、「http://testdomain.jp/」と「http://testdomain.jp/index.html」はURLは異なりますが、閲覧されているページは同じです。これをいずれかのURLに統一することがURLの正規化です。本来はサイト側で処理すべき事象です。しかし、何らかの理由でそれが解決されない場合、Googleアナリティクス側の計測で処理する必要があります。
1-a. 「デフォルトのページ」の設定
Googleアナリティクス側でURLを正規化する方法として、「デフォルトのページ」設定があります。「http://testdomain.jp/」と「http://testdomain.jp/index.html」が同一ページの場合、この設定によって「/index.html」に集約して計測されるようになります。この場合は、「ビュー設定」の「デフォルトのページ」の項目を「index.html」で指定します。
もちろん、サイト側でURLを正規化していれば設定は不要です。
参照:「/」と「/index.html」が別々にトラッキングされる – アナリティクス ヘルプ
1-b. フィルタによるURL正規化計測
「デフォルトのページ」の設定だけでは、サイトの実情に合わないケースがあります。例えば、下記のようにディレクトリごとに「index.html」「index.php」など複数のバリエーションがある場合、「デフォルトのページ」設定だけではカバーできません。
- http://testdomain.jp/
- http://testdomain.jp/index.html
- http://testdomain.jp/01/
- http://testdomain.jp/01/index.php
この場合は、フィルタを用いてURLを集約します。「検索と置換」のフィルターで、正規表現を用いて指定します。上記の「index.html」「index.php」の場合は、例えば以下のようなフィルタ設定が考えられます。
※実際には各自のサイトの実情に合わせた指定をすること
ポイント2. 分析上不要なURLパラメータを除去して計測する
計測URLを集約する方法の2つ目は、分析上不要なパラメータを除去する、というものです。
2-a. 「URLクエリパラメータを除去」の設定
URLパラメータは、各種広告などの効果測定として活用されることも多いですが、サイトのシステム側で動的にページ生成される際に付与されたり、意図せず付与されることも多くあります。不要に多くのパラメータが付与されていると、URLの種類は膨大になり、1日50,000件をすぐに超えてしまいます。
一般的には以下のようなものが考えられます。
- セッションID
- データベースから動的にページ生成するサイト(動的サイト)での計測上不要なパラメータ
- Webサービスなどが付与する判別用のパラメータ
上記のような「記録しなくても分析上影響を受けないURLパラメータ」を、除外設定します。「ビュー設定」の「URLクエリパラメータを除外」の項目で指定します。
詳細は、以下のエントリー記事にて以前に解説しています。
Googleアナリティクス設定で除外すべきURLクエリパラメータ
2-b. サイト内検索の計測時のクエリパラメータ除去
サイト内検索をGoogleアナリティクスで計測させる際、URLからクエリパラメータを除去できます。各検索クエリの状況は、[行動>サイト内検索]にある「サイト内検索キーワード」レポートなどで把握できるため、一般的にはURLからクエリパラメータを除去して問題ありません。
ポイント3. ページ単位での計測が不要なコンテンツは集約計測する
計測URLを集約する方法の3つ目は、ページ単位での計測が不要なコンテンツはページをグルーピングして集約計測する、というものです。
3-a. フィルタによるページの集約
例えば、ある程度の規模の賃貸サイトや人材紹介サイトなど、「大量の案件詳細ページがデータベースを元に自動生成される」タイプのサイトがあります。このようなサイトの場合、各物件ページや各案件ページを個別のページ単位で分析することはほとんどありません。「物件ページグループとして、流入や閲覧状況はどうだったのか」というように、コンテンツグループという単位で把握することになります。つまり、ページ単位で計測する必要がなく、ページ群として計測しておけば良いという状態です。
この場合、フィルタを用いてURLを集約します。「検索と置換」のフィルターで、正規表現を用いて指定します。例えば、以下のようなフィルタ設定が考えられます。
※実際には各自のサイトの実情に合わせた指定をすること
フィルタ適用時の注意点
設定は計測されるデータに影響するため、すべてにおいて慎重な設定が必要ですが、フィルタの適用の際は特に以下のような点に気をつけます。
- 「オリジナルのローデータを計測するビュー」を残すこと
- その目的で新たにコピーしたビューに適用することが望ましい
- 事前にテスト用ビューでテストすることが望ましい
実際には、上記に挙げた回避方法を複数組み合わせて設定を行います。パラメータやページのグルーピングなどは、Web担当者だけではすべて把握していなかったり判断がつかない場合も多く、関係各所と調整する必要があるでしょう。
まとめ:「計測URLを集約する」
中規模以上のサイトのGoogleアナリティクスで、「(other)」を「すべてのページ」レポートから回避する方法を紹介いたしました。
しかし、実はここで紹介した内容のほとんどは、サイトの規模に問わず対応すべきものです。数百ページから数千ページ程度のサイトでも、「1-a」「1-b」「2-a」「2-b」は本当は必須の設定項目です。
手法はいくつかありますが、要点は「計測URLを集約する」です。できるだけ、URLのバリエーションを減らす、整理するという視点で取り組むと良いでしょう。
以上、真摯のブログからお送りしました。
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