事例:複雑な製品検索のGA4計測と利用状況の可視化
Googleアナリティクス(GA4)には拡張計測機能として「サイト内検索」の計測が準備されています。しかし、Webサイトによってはその機能では十分にユーザー行動を計測できないケースがあります。
今回ご紹介するのは、機器メーカー様の製品検索システムの計測設定の事例です。複数項目の入力が必要な製品検索の利用状況を、各入力項目の内容とその組み合わせで把握できるようにGoogleアナリティクスで計測し、Looker Studioでレポートを構築した事例を紹介します。
クライアント、期間の目安、内容
- クライアント:機器メーカー様
- 取り組み期間:1カ月
- 内容:要件整理、追加計測の実装設定、レポートの作成
- ツール:Googleタグマネージャ、Googleアナリティクス、Looker Studio
この事例が参考になるケース
- 複数条件での絞り込み検索を提供している企業
- BtoBやBtoCの製品を取り扱い、型番検索が重要な企業
- カタログサイトで詳細な検索分析が必要な企業(EC/不動産/求人/情報)
背景:製品検索システムの利用状況を把握できていない
このクライアント様のWebサイトでは、端末に適合する製品をユーザーが検索できる独自の製品検索システムが提供されていました。しかし、入力項目が多く複雑なために利用状況を把握できておらず、「どのような条件で検索されることが多いのか」「どの項目の入力が重視されているのか」といったユーザー行動が見えない状態でした。
この情報を可視化できれば、よく検索される製品のサポートの強化や、Webサイトの動線の改善、営業活動における重点商材の見極めなどに活用できます。そのため、製品検索システムの利用状況の把握が課題となっていました。
製品検索システムの仕様と計測上の課題
この製品検索システムには、以下のような特徴がありました。GA4拡張計測機能のサイト内検索の計測では検索行動を適切に捕捉できない仕様です。
- 製品検索の仕組み
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製品検索は入力要素のいずれか複数の組み合わせで行われ、条件に合致する製品一覧が結果に表示される
- 利用端末の入力
- メーカー、ブランド(選択肢)
- 型番、モデル(キーワード入力)
- 端末の種類(選択肢)
- 発売年(選択肢)
- 製品カテゴリーの選択
- 利用端末の入力
- 計測上の技術的課題
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- 検索結果ページのURLクエリパラメータに出力されるのは一部の入力情報のみ
- 検索時にキーワード入力をしないケースがある
カスタムイベント計測とレポートによる可視化
これらの状況を解決するため、以下の2つの側面から取り組みを実施しました。
1. フォーム送信時の項目別データを取得(Googleアナリティクス)
項目別の入力内容の計測では、検索実行時に取得する方法を採用しました。ユーザーによる検索フォーム送信時に各項目の入力値を取得し、Googleアナリティクスのカスタムイベントの各パラメータに値を格納する実装を行いました。

これにより、以下の情報を計測できるようになりました。
- どのメーカー、ブランドが選択されたか
- どのような型番、モデルが入力されたか
- どの端末種類が選択されたか
- どの発売年が選択されたか
- どの製品カテゴリーが選択されたか
- 上記の組み合わせパターン
2. 検索パターンを可視化するレポートを作成(Looker Studio)
取得したデータをもとに、クライアント様が日常的に確認できるレポートをLooker Studioで準備しました。このレポートでは以下の内容を可視化しています。
- 検索パターンの把握:各項目の入力情報の組み合わせごとの検索数
- 項目別の検索数:メーカー別、端末種類別、発売年別など、各項目単位での検索数
- 検索利用の推移:期間別の検索傾向の変化
これにより、どのような条件での検索が多いのか、どの項目がユーザーにとって重要な検索軸なのかを把握できるようになりました。
実施後の成果:データに基づくWebサイト改善と営業活動への展開
- 実施前:「検索機能は利用されているかどうか」程度の把握
- 実施後:「どのような端末と製品カテゴリーの組み合わせが多いか」までわかる
追加計測設定の実施により、クライアント様は以下のような改善活動を行えるようになりました。
- Webサイトの改善
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- 検索利用の多い製品カテゴリーや端末メーカー、モデルなどが明確になり、それらの製品情報を優先的に露出する動線設計が可能に
- 検索頻度の高い組み合わせパターンについて、専用のショートカット動線の設置を検討
- 発売年の古い製品や希少な製品などで当初の想定よりも一定数の検索があることから、FAQコンテンツ拡充などに反映
- 営業活動への活用、開発やマーケティング戦略への示唆
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- 検索数の多い(注目度の高い)製品に対して、営業部門のサポート内容に反映できるように
- 検索数は多いもののそこまでの利用に至っていない製品について、アプローチ変更の検討を進められるように
- 今後の製品開発における優先順位付けや、マーケティング施策のターゲット設定にも反映
まとめ
- クライアント:機器メーカー様
- 取り組み期間:1カ月
- 内容:要件整理、追加計測の実装設定、レポートの作成
- ツール:Googleタグマネージャ、Googleアナリティクス、Looker Studio
今回の事例は、複数条件を組み合わせる検索システムを持つWebサイトでも、適切な計測設計を行うことで詳細なユーザー行動を把握できることを示しています(ECサイト、不動産検索や求人検索など)。
特に、GA4の標準機能では取得できない情報についても、カスタムイベントを活用することで必要なデータを収集し、ビジネス改善に繋げることが可能です。製品検索システムやフォームなど、複雑なユーザー行動の計測にお悩みの企業様にとって、参考になる事例かと思います。
データの可視化は目的ではなく、あくまでビジネス改善の手段です。本件のクライアント様のように、計測したデータを実際のサイト改善や営業活動に活かしていくことが、デジタルマーケティングの真の価値創出に繋がります。
GA計測設定の見直しの支援をしています。

