自社ビジネスがどうありたいかは選んだKPIに表れる
自社ビジネスがどうありたいかは選んだKPIに表れる、というのは一側面としてそうだと感じます。SaaSなどのスタートアップやユーザー向けサービスの提供企業、ECもそうですしオウンドメディアなどもそうでしょう。どのような指標をキーとして把握しているかによって、そのビジネスが向かう方向が決められます。
逆に言えば、月並みなKPIを適当にそろえているだけでは、月並みな存在に終わるかもしれない、ということです。
- 全体の売上を追うのか、あるいは注力する特定カテゴリーの売上を重視するのか
- ユニークユーザー数を追うのか、あるいは特定アクションを行ったユーザー数を重視するのか(あるいはMAUを追うのか、常連層を把握するのか)
- 全体PV数を追うのか、特定カテゴリーの状況だったりスポンサードコンテンツの効果を追うのか
- 顧客獲得コストや獲得件数を追うのか、LTVと並べて収益性(ユニットエコノミクス)を把握するのか
- 月間売上の成長率を追うのか、チャーンレートを重視するのか
全体の丸められた数字だけを追っていれば特徴のない未来にたどり着きやすいでしょう。選ぶ指標によっては、例えば営業力は強いけれどもカスタマーサクセスが弱くてチャーンが多い、ということにもなります。
自分たちがたどり着こうとしている未来、それはミッションかもしれませんが、それにしっかり紐付きつつ、計測可能なものを探す(あるいは作る)ことを模索することになります。
ある案件では、メディアとしての「常連層」を定義し、その成長と全体における割合を追いました。そのメディアが期待する未来の顧客層を計測可能な軸で定義し、先行指標として把握するというものです。ビジネスの成長過程で他のさまざまな指標をその時々で差し替えましたが、この指標は7~8年ほどの長きにわたり根幹として機能しました。いまはCookieの制約もあり、参考値として扱わなければいけなくなってしまいましたけれども。
例えばECにおいても、単に売上や購入件数を確認するだけでなく、「2回目の購入」である「F2」に初回購入者がどれだけ転換したのか(F2転換数)やどれだけの割合で転換したか(F2転換率)を把握することで、「顧客化の状況把握」の解像度は高くなります。
「よくある特徴のない指標を選び、それを単に増加させる」という発想になったとき、ハックなど小手先で表面的な手法に向かいがちです。ハックを悪とは思わないですが、それによって獲得した数字は望んでいる良質な未来かは自身に問うていかなければいけません。
先日、「スタートアップのメトリクス モメンタムを死守する (2) 」という資料を拝読しました。ややスタートアップ向けの内容ですが、「選んだ指標は自身の体を表す」という思想を根底にしたもので、非常に良い内容でした。