「平均的なコンテンツ」の終わり

コンテンツを届けることはどんどん難しくなり、そして平均的なコンテンツでは信頼性と専門性の獲得は難しい、という話。

「オフトピック (Off Topic)」というテクノロジー系/スタートアップ系のテーマを扱うポッドキャストがあります。その2024年6月6日の内容を紹介しつつ、コンテンツマーケティングの視点で感じたところを述べていきます。

オフトピックの6月6日のポッドキャストのテーマは「平均メディア時代の終わりと新エキスパートメディア」というテーマでした。「従来型メディアの影響力が低下し、個人や専門家が情報発信の主導権を握る新しいメディアの時代になった。特に信頼性と専門知識が重視される新たなメディアの形態が台頭している」といった内容です。各種ポッドキャストやYouTubeにて無料で視聴できます。

「メディア」の文脈で語られていますが、「オウンドメディアや所有チャネルによるコンテンツマーケティング」の視点でも示唆を得られます。

目次

コンテンツの配信コストはほぼゼロに。しかしそれがゆえにかえって「届ける」のは困難になった

「コンテンツの配信コストがほぼゼロになり、誰でもコストをかけることなくユーザーにコンテンツを届けられるようになった」という話が出てきます。ブログをはじめ情報発信の民主化は今に始まったことではありませんが、従来型メディアの影響力やビジネスを脅かすようになったのは近年顕著です。

一方、コンテンツの配信コストがほぼゼロになった反面、ユーザーに「大量コンテンツの中からいかに選んでもらうか」「コンテンツにきちんと接してもらえるか」はより難しくなった点は挙げておきたいです。

  • 埋もれてしまう
  • 選んでもらえない
  • きちんと向き合って接してくれない

といった問題です。「コンテンツを届けるのはかえって難しくなった」と感じます。

コンテンツマーケティングにおいても、皆さんコンテンツを作ることには熱心です。しかし、それをどうやって届けるのか、ユーザーとどう関係性を持つかといった点にはそこまでの熱心さを感じません。我々はもっとそこに意識を向ける必要があります。コンテンツの配信とオーディエンスとの関係性構築です。

「コンテンツの信頼性と専門性」に不可欠な「独自視点」

もうひとつ。ポッドキャストの中で「コンテンツに対して求められる信頼性と専門性」という話も出てきます。メディアへの信頼低下が目立ち、いかにコンテンツやメディアとしてユーザーの信頼を獲得するか、といった内容です。

コンテンツマーケティングでは、これに対していくつかの側面での取り組みが考えられます。接点づくりやその頻度増加といった仕組みやコミュニケーションの取り組みもあるでしょう。

加えて「どれだけ独自の視点をコンテンツに盛り込んでいるか」が重要です。「他メディアでも見かけるようなコンテンツ」はもはやAIが容易に生成できます。例えばブログ記事でも「他所でも見かける内容が9割」といった凡庸で焼き直しのようなコンテンツが散見されます。信頼性と専門性の獲得は「平均的なコンテンツ」では難しいはずです。

独自の視点、引いていえばコンテンツとしての個性、メディアとしての個性。

私が書く記事でも、できるだけ独自の視点を中心に据えるようにしています。信頼性と専門性の獲得にはまだまだ道半ばですが、コンテンツマーケティングでも「平均的なコンテンツ」ではポジティブに作用しない時代です。「エキスパートになる」こと自体がハードル高めですが、「他者でも伝えられる内容」よりも「自分たちだからこそ伝えられること」が専門性獲得の一つの道です。

コンテンツは「自分たちだからこそ伝えられること」「自分たちも見たいもの」を意識する
コンテンツでは「他者でも伝えられる内容」より「自分たちだからこそ伝えられること」を意識したい

「届ける」ことの困難さ、そして「平均的なコンテンツ」の終わり。意識していたいです。

このコラムは、2024年6月10日発行のニュースレター「真摯レター」のコラムを再編集したものです。ニュースレターの購読はこちらから。

株式会社真摯では、コンテンツマーケティングの戦略面での支援を行っています。

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