コンテンツマーケティングでは届け伝えることを怠ってはいけない
コンテンツマーケティングでは届けること、伝えることを怠ってはいけません。コンテンツを作ることにフォーカスが当たりがちですが、「コンテンツを使ったマーケティング活動」である限りユーザーに届けてからが本番とも言えます。
ここではコンテンツをいかにして伝え届けるか、ディストリビューションの話をしていきます。
扱える集客チャネルを認識し、態勢を整えておく
コンテンツをリリースした後、私たちはまずユーザーにそのコンテンツを伝え届けなければいけません。
「そのうち自然検索経由で流入するのを期待して待つ」のも一つの選択肢です。しかし、コンテンツマーケティングの重要な軸として「再アプローチ可能なユーザーとの関係性構築(オーディエンスビルディング)」を設ける以上、そのオーディエンスに確実に伝え届けることは初期に求められるアクションです。
そのコンテンツのプラットフォームだけで伝えようとせず、あるいは自然の成り行きでうまくいくだろうと思わずに、所有チャネルと他者チャネルを活用することです。
まず、所有しているチャネルと他者のチャネルを整理しておきます。
当たり前で驚きの少ない図解かもしれません。とはいえ、集客チャネルをフル活用しているところも多くない印象です。コンテンツをリリースしたものの、そっと告知する程度で終わっているところも見かけます。もったいないです。
- 所有チャネル
- そのコンテンツのプラットフォーム
- 集客チャネル
- Webサイト
- ニュースレター
- ソーシャルメディア
- プレスリリース
- RSSフィード
- 他者チャネル
- オーガニック集客チャネル
- 検索エンジン
- SERP
- Google Discover
- ソーシャルメディア
- 口コミ
- リツイート
- シェア
- 検索エンジン
- 広告集客チャネル
- 検索エンジン
- リスティング広告
- ソーシャルメディア
- ソーシャルメディア広告
- インフルエンサー
- アドネットワーク配信、ネイティブアドなど
- 検索エンジン
- オーガニック集客チャネル
他にも挙げられるかもしれませんが、すべてに取り組む必要はありません。広告集客チャネルは一定の金額がかかるため、そこまでの予算をかけられない企業がほとんどです。プレスリリースを打つようなコンテンツではないことが大半かもしれません。Google Discoverに掲載されるかどうかもコントロール不可能です。
しかしこれらを手段として認識し、態勢を整えておくことは重要です。
- ソーシャルメディアでシェアされやすいようにコンテンツ付近に各種ボタンを揃えているか?
- 毎週のニュースレターで紹介しているか?
- RSSフィードの利用者は多くないが、利用できることを伝えているか?
- Google Discoverで大きなサムネイル画像で表示されるような仕様に整備しているか?
- OGPの画像は魅力的か?
- ユーザーが検索する言葉、反応する言葉を使っているか?
- 集客用の予算の確保をどうにかしてできないか?(難しいのは知っている)
「集客」と「コンテンツを届ける」は異なる
前回の記事でも触れましたが、「集客」と「コンテンツを届ける」は異なります。
どこかのプラットフォームでコンテンツをリリースすれば、よくあるケースではそのコンテンツに対して集客をかけることになります。一方で、各チャネルにコンテンツやその一部をそのまま届けることもできます。各チャネルのオーディエンスとの関係を温めるのか、そのチャネルを集客チャネルとして捉えるかの違いです。
集客チャネルとして機能させるのであれば、例えばソーシャルメディアでは一定の制約下での集客であることを踏まえなければいけません。現在のソーシャルメディアは「できるだけプラットフォーム内での滞在を望む」というスタンスです。プラットフォーム外へのコンテンツ誘導はウェルカムではありません。リンク付き投稿のインプレッションやエンゲージメントが伸びない中での集客になります。
集客では、愚直に最大のパフォーマンスが出るように取り組むべきです。好き嫌いはともかく、さりげなくスマートに集客しようとしてもなかなか効果は出にくいものです。ソーシャルメディアをコミュニケーションの場と捉えれば、「集客のお声掛け」はあまりスマートなコミュニケーションではないですしね。
同じ集客チャネルで複数回アプローチしているか
集客の際、同じチャネルで複数回のアプローチすることは有効です。むしろ一回でアプローチできるのはオーディエンスの一部と思うべきです。
ユーザーは期待しているよりも発信すべてをウォッチしていません。ユーザーが非アクティブのときに発信しているかもしれませんし、そもそもユーザーのタイムラインに表示されていないかもしれません。気付かずにスルーされたかもしれません。誰もあなたの一挙一動など注視していないのです。あなたもそうであるように。
ニューヨーク・タイムズの2014年のドキュメント「Innovation Report」では、非営利報道組織のプロパブリカの例として「記者は自分の書いた記事1つに対して5回のツイートを求められている」ことを紹介しています。お堅めの独立系の報道組織だそうですが、ソーシャルメディアやポッドキャストを積極的に活用しているようです。
所有チャネルで複数回のアプローチが可能であれば、手抜かりなく最大のパフォーマンスを目指すべきです。ニュースレターであれば複数回の配信にて告知を重ねることができます。Twitterであればツイート翌日に異なるアプローチのツイートをし、翌々日には効果の良かった方をセルフリツイート、またユーザーのシェアのリツイートなどもできます。
パッケージにして届ける
コンテンツをパッケージにして届けることも有効です。過去のコンテンツに共通のテーマや切り口のものがあれば、それらをパッケージにして「パッケージごとアプローチ」することもできます。
パッケージにすることで、そのコンテンツを気に入ったユーザーに「似たコンテンツが他にもあるんだ」と気付いてもらえます。過去のコンテンツへの誘導も図れます。シリーズ化して同じテーマでコンテンツ作成を続けていけば、パッケージ全体としての魅力を高められます。それがきっかけでファンになってもらえる、つまり企業やブランドのオーディエンスビルディングにつながります。
例えばInstagramストーリーのハイライト機能は、同じテーマのInstagramストーリーをテーマ別に整理でき、プロフィールページを見たユーザーに好みのコンテンツが揃っていることを伝えられます。YouTubeの再生リストも同じテーマの動画が複数あることを示し、シリーズ化して今後の展開の可能性もアピールできます。noteのマガジン機能も共通テーマの記事を分類でき、自身以外のユーザーによる記事も含めて双方向性を持たせたり、マガジンとして購読してもらうこともできます。
自分たちのプラットフォームでも近い取り組みはできるはずです。タグ付けに始まり、マガジン化、シリーズ化、リパッケージなどです。
いかに想起集合(エボークトセット)に入るか
ディストリビューションとは少し違う文脈になりますが、集客チャネルを使ってユーザーやオーディエンスにアプローチする際、いかにして購入やコンバージョンの際に「想起集合(エボークトセット)」に入れてもらえるかを念頭に置くことです。
集客しようとするわけですからユーザーの視界に入ることになります。そのときに長い視点で特定ユーザー層にウェルカムに受け入れられ続けるか、関係性を維持できるか、「自分たち側」と思ってもらえるかは重要な土台になります。
なぜならコンテンツマーケティングで重要なのは再アプローチ可能なユーザーとの関係性構築だと考えるからです。
ユーザーの行動の中で、タイムラインの中で、ユーザーの視界に入ること。顔を出し、挨拶し、興味関心のある話題を提供し、「自分たち側」と思ってもらえるか。
そのためにはディストリビューションでは一方通行に終始しない方が良いと考えます。ディストリビューションといえども、コミュニケーションは必要。一方通行ではユーザーとの関係性構築に時間がかかるはずです。
まとめ
- コンテンツを伝え届けるために、扱える集客チャネルを認識して態勢を整えておく
- 「集客」と「コンテンツを届ける」は異なる
- 同じ集客チャネルで複数回アプローチを試みる
- パッケージにして届ける
- いかに想起集合(エボークトセット)に入るか
この記事は、コンテンツマーケティングの4つの戦略軸「オーディエンスビルディング」「コンテンツ」「ディストリビューション」「エンゲージメント獲得」のうち、主に「ディストリビューション」の領域を展開しています。
この記事は、当社の資料『コンテンツマーケティングの戦略設計 – 取り組むべきはオーディエンスビルディング』の内容の1トピックスを記事化したものです。