コンテンツマーケティングで届けるべきは「自分たちだからこそ伝えられること」か「自分たちも見たいもの」
コンテンツマーケティングに取り組む上で「どのようなコンテンツを届けるべきか」を考えるとき、バリュープロポジションの考え方が参考になります。顧客となるユーザーの興味関心にアプローチしつつ、自社が提供できる価値とマッチさせなければいけません。
顧客が求める価値のうち、自分たちだからこそ提供できる価値の領域「バリュープロポジション」を目指す
コンテンツを発信するとき、自分たちが伝えたいことのみで取り組んでもユーザーの支持を得られません。自分たちが伝えたいこととユーザーが価値を感じるところが合致して初めて、コンテンツマーケティングが動き始めます。
これは、バリュープロポジションの考え方と同じです。顧客に支持されるには「支持されるにふさわしい価値」を約束しなければいけません。コンテンツでも自分たちが伝えたいことと顧客の興味関心を合わせることが大事です。
その中でも「他者でも伝えられる内容」より「自分たちだからこそ伝えられること」の方が理想的です。
もし自分たちがコミュニティの一員なのであれば、「自分たちも見たいもの」「チームの誰かが見たくなるもの」を発信、という発想でも良いかもしれません。
顧客層の興味関心の延長線上に自社のビジネスがあり、自分たちもまたユーザーであれば、「顧客が楽しいと感じるコンテンツ」は「自分たちが見ても楽しいコンテンツ」です。もちろん「自分たちも見たいもの」で推し進めるには客観視できる力も必要です。
どのような需要に届けるのかでは Hero/Hub/Help を意識する
どのような需要にコンテンツを届けるのかを考えるとき、いろんな視点がありますが、以下の分類で取り組むのも一つの方法です。
- 認知のきっかけとなる話題性のあるテーマ (Heroコンテンツ)
- 既存ユーザーや会員向けのテーマ (Hubコンテンツ)
- ユーザーの抱える課題への解決や提案 (Helpコンテンツ)
一番右側の「ユーザーの抱える課題を解決するもの(Helpコンテンツ)」から見ていきましょう。「ユーザーの課題を解決するもの」を大きく分けると「顧客に利益を与えるもの」「顧客の悩みを取り除くもの」に分かれます。
- 顧客の課題を解決するもの
- 顧客に利益を与えるもの
- 顧客の悩みを取り除くもの
ビジネスであれば需要は「ユーザーの課題を解決するもの」が多くを占めます。おそらくコンテンツマーケティングで多く取り組まれているのがこの「Helpコンテンツ」の領域です。長期的には検索エンジンからの集客を想定しており、ユーザーが検索するキーワードを意識してコンテンツを作成することになります。
この他に「純粋にワクワクするもの」「感動するもの、心を打たれるもの」「提示されると興味を持つもの」もあります。上図の「認知のきっかけとなる話題性のあるテーマ (Heroコンテンツ)」「既存ユーザーや会員向けのテーマ (Hubコンテンツ)」が該当します。「鑑賞」だったり「無意識な興味関心」へのアプローチで、多くはプッシュ型のコンテンツです。そこでは「ユーザーが反応するキーワード」の利用が効果的です。
コンテンツの分類「Hero / Hub / Help」は、企業がコンテンツマーケティングを推し進める際のアプローチとして2014年にグーグルが発表したものです。1
- Heroコンテンツ:話題性のあるコンテンツ。幅広い顧客層にリーチして認知や興味関心を獲得する
- Hubコンテンツ:顧客層との関係性構築のためのコンテンツ。主に既に関係性のある顧客層に向けたプッシュ型コンテンツ
- Helpコンテンツ:具体的な課題や疑問を解決するコンテンツ。日常的に検索されるプル型のコンテンツで、関係性構築のきっかけを作る
どのタイプのコンテンツをどのようなバランスで提供していくかを戦略立てて取り組め、という考え方です。もともとはYouTubeなど動画マーケティングにおけるチャネルの成長の文脈で発表されましたが、他のコンテンツマーケティングの取り組みでも当てはまる内容です。
「Hero / Hub / Help」については、こちらの記事で詳しく触れています。
コンテンツマーケティングとして取り組みやすいのは「ユーザーの課題を解決するHelpコンテンツ」です。まずはその軸を中心に取り組んでよいのですが、意識しなければHelpコンテンツばかりになりがちです。オーディエンスビルディングにつながる「Hubコンテンツ」や、大きな認知拡大を図る「Heroコンテンツ」も必要です。
意識すべきは、バリュープロポジションの領域である「自分たちだからこそ伝えられること」「自分たちも見たいもの」です。
まとめ
- 自分たちが伝えたいことと顧客の興味関心の一致する「バリュープロポジション」領域を取り組む
- 自分たちがコミュニティの一員であれば「自分たちも見たいもの」も良し
- どのような需要に届けるのかでは Hero/Hub/Help を意識する
この記事は、コンテンツマーケティングの4つの戦略軸「オーディエンスビルディング」「コンテンツ」「ディストリビューション」「エンゲージメント獲得」のうち、「コンテンツ」の領域を展開しています。
この記事は、当社の資料『コンテンツマーケティングの戦略設計 – 取り組むべきはオーディエンスビルディング』の内容の1トピックスを記事化したものです。