コンテンツマーケティングという文化圏(そしてそれは経済圏へのアンチテーゼとして)
コンテンツマーケティングの取り組みには文化圏を作るという側面があると感じます。
その話を、10月のアナリティクス アソシエーションで開催されたセミナー「コンテンツマーケティングの本筋の話をしよう」のフリーディスカッションで少しだけ触れました(スピーカーを務めました)。セミナーが終わった後で考えをまとめておこうと思い、ここで少し整理してみます。
企業のメッセージに共感したり心地よく感じたりするような「支持者」を増やす取り組み
「コンテンツマーケティングは文化圏を作る取り組み」というのは、BtoCの領域で特に感じます。その企業やブランドのメッセージに共感したり心地よく感じたりするような人、いわば「支持者」を増やす取り組みです。「支持者」は私の言葉ではなく受け売りのものです。
コンテンツ1つですぐに購入や成約などのコンバージョンに至るわけではありません。しばらくはコンテンツやコミュニケーションを媒介にしてユーザーとつながっている状態です。それを重ねていくとやがて少しずつ購入や成約に至り、長期的にはLTVも高いのではないか、というのが文化圏と感じる所以です。
文化圏を作るくらいなので、取り組みはもちろん長期にわたります。コンテンツマーケティングは長い道のりです。文化圏なので人つまり「オーディエンス」と向き合いアプローチしなければいけません。
BtoBの領域ではビジネス上の実務者と契約者が異なることがあり、文化圏のつながりはBtoCほどはっきりしないかもしれません。その中でも、接するコンテンツやメッセージからはその企業の「思想」や「雰囲気」「色」を感じられます。似たような事業を展開する他企業と比較すると、コンテンツから感じる空気は企業ごとに異なります。「A社は自社の風土に合いそうかも」「B社はより技術的側面でカバーしてくれそう」「C社はポリシーを持っているよね」といった感じです。
それも一種の文化圏だと思うのです。契約の際にはさまざまな条件が絡むので必ずしも「文化圏にいる=契約に至りやすい」ではありませんが、それでも契約に対してポジティブな影響はあるはずです。
「それは経済圏へのアンチテーゼですね」
その話の触りを、セミナーの1~2カ月前に行った事前のすり合わせミーティングで話してみました。
すると第1部スピーカーのJADE伊東さんから「それは経済圏へのアンチテーゼですね」との指摘が返ってきました。その視点では捉えていなかったのですごく驚いたとともに、いい視点だなと感じました。
経済圏は、会員プログラムやポイント、クーポンといったプラットフォーム的あるいは機能的ベネフィットでユーザーに支持されるもの。いまの言葉でいうと例えば「コスパ」だったりあるいは「利便性」や「合理的」。
文化圏は、発信するコンテンツやメッセージや雰囲気で魅了してユーザーに支持されるもの。いまの言葉でいうと例えば「世界観」、あるいは「情緒的」。
どちらが良い悪いだったり、優れている劣っているというものではありません。どちらにも利点や魅力があり、ユーザーの好みはグラデーションを帯びています。企業側から見ると、経済圏構築は仕組みでの整備が中心になるのに対し、文化圏構築は人の関与や熱量が大きく必要です。
コンテンツマーケティングに取り組む際にこのようなことを意識すると、向き合い方は変わってくるはずです。
今日とある件のミーティングにて「それを『文化圏』という言葉で僕は呼ぶことがあるのですが」と言ったら某氏に「経済圏のアンチテーゼですね」と返ってきて、うわー言い得て妙だなーと思った
— いちしま泰樹🥝株式会社真摯 (@makitani) September 4, 2023
「○○文化圏」っていいんじゃないですかね。文化圏を作れる企業って限られているとは思うけれど