「直接アクセス」「ノーリファラー」などとも呼ばれるダイレクトトラフィック。昔から定義そのものは変わっておらず、「リファラー情報を取得できないサイト流入」を意味します。
ダイレクトトラフィックは、これまで「ご指名系の流入」「リピーター層」と捉える風潮もあったように思います。「ブラウザーブックマーク経由流入」「URLの直接入力やオートコンプリートでの流入」が一定数含まれるためです。
しかし、もう近年はそのような「エンゲージメントがきっと高い流入」ばかりではなくなりました。リファラー情報を取得できないトラフィックは多様化し、当初からの定義のとおり「どこから来たのかが不明」なものが増加しているはずです。やっかいなのは、どれだけの量と種類が増えたのかがわからないという点です。
このような「リファラーが不明な流入」は、「ダークトラフィック」とも呼ばれます。ネガティブな意味はありませんが、これまで一方的に重要さを背負わせていた状態ではなくなった、と言えます。文字通り「どこからやってきたかわからない流入」です。
主要なダイレクトトラフィック
主要なものを改めて挙げてみます。一般的な事象として挙げているので個別の例外はあります。
- ブラウザーブックマーク経由、履歴経由
- URL直接入力、オートコンプリート
- メールソフトやローカルアプリケーション経由、スマートフォンアプリ経由
- チャットやメッセンジャー経由
- QRコード経由
- Google Discover経由
- rel属性に「noreferrer」が付与されたaタグのリンク経由
- リファラー送信拒否(ブラウザーアドオン、セキュリティソフト)
- httpsからhttpへのリンク経由
- 一部のJavaScriptリダイレクト、meta refreshリダイレクト
3)のアプリ経由、4)のチャット、7)のnoreferrerリンクなどが増加しているのではないでしょうか。
例えば、LINE経由の流入はいまでもリファラーを持っていませんし、Slackはデフォルトでリファラーを外す設定になっています。Zoomやハングアウトもリファラーはありません。
「rel属性に『noreferrer』が付与されたリンク」も増加しました。例えばWordPressの普及したエディターの中には、デフォルトでnoopenerとnoreferrerを付与するものがあります(皆さんのオウンドメディアをチェックしてみてください)。利用者が増加しているコンテンツ配信サイト「note」も、別ウインドウで開くリンクにはnoreferrerが付与されるものがあるようです(そうではないものもあります。詳しく知りません)。
Google Discover経由の流入も、現状はアクセス解析では判別できません。
他にも「Flash埋め込みリンク経由」がありますが、これはそろそろ収束するでしょうか。
従来のようなステレオタイプな見方は避けよう
正直なところ、ダイレクトトラフィックの内訳でどれがどれだけ増減したのかはわかりません。ただ、「ご指名流入以外」のトラフィックはおそらく増えています。ソーシャルメディアでサイト内のページが話題になると、そのページへのソーシャルメディア経由の流入に加えてダイレクトトラフィックも増加することに気付いている担当者も多いはずです。
ダイレクトトラフィックに対して何か特別な施策を行うケースは少ないように思いますが、従来のようなステレオタイプな見方は避けるべきでしょう。依然として重要なトラフィックを多く含みますが、もしそこにフォーカスを当てるのなら、それが何なのかを類推しなければいけません。
コントロールできる流入チャネルではパラメータ付与で回避
当然ながら、自社がコントロールできる流入チャネルでは、リンク先URLにパラメータを付与することでダークトラフィックな状況を少し回避できます(例えばGoogleアナリティクスではUTMパラメータですね)。メルマガやLINE、QRコードなどが該当します。
なお、TwitterやFacebook、Instagramなどは、アプリ経由流入であっても基本的にはリファラーが付与されています(そうではないケースもあるかもしれません)。
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このコラムは、2020年2月13日発行のニュースレター「真摯レター」のコラムを再編集したものです。ニュースレターの購読はこちらから。