GA4で「どんなユーザーがいるか」を整理する、ユーザーエクスプローラのもう一つの使い方

GA4では、ユーザー数やセッション数、エンゲージメント率、平均エンゲージメント時間など、サイト全体の状況をさまざまな切り口から確認できます。
一方で「どんなユーザーがいるのか」「タイプ別にユーザーがどれぐらいいるのか」を把握しようとすると、意外と簡単ではありません。
ほとんど見ずに離脱する人もいれば、1回の訪問で多くのページを閲覧する人、何度も訪れて深く利用する人もいます。こうした違いは、サイト全体の平均値や合計だけでは埋もれて見えにくくなります。
そこで今回は、GA4の探索「ユーザーエクスプローラ」のデータを少し違った見方で分析してみます。ユーザーエクスプローラを「特定ユーザーの行動を見るためのレポート」としてではなく、ユーザー単位の行動サマリーデータの集合として扱うというものです。
ユーザーエクスプローラの使い方は「1人ずつ見る」だけではない
ユーザーエクスプローラは、個々のユーザーを選択してどのような行動をしたかを確認できる探索レポートとして知られています。特定ユーザーの行動を詳しく調べる用途では便利ですが、数千人、数万人のユーザーを1人ずつ確認してサイト全体の傾向をつかむのは現実的ではありません。
一方、一覧データとして見ると別の使い方ができます。一定期間のデータとして、ユーザーごとにセッション数や表示回数、ユーザーエンゲージメント、キーイベントといった主要な指標を並べることができます。
つまり、ユーザーエクスプローラは一覧データをエクスポートすることで「各ユーザーが期間中にどのようにサイトを利用したかをまとめた、ユーザー単位の行動集計データの集合」としても扱うことができます。1

通常のGA4レポートでは、チャネル別、ページ別、期間別などにデータを集約して見ることが多くなります。それに対して、ユーザーエクスプローラでは「ユーザー単位」で把握することができます。
ユーザーエクスプローラは1人のユーザーを詳しく見るためだけではなく、「ユーザー単位の行動データを集計して、サイトにどのような利用者がどの程度いるのかを把握するためにも使える」という捉え方から、今回の分析はスタートしています。
- データ探索のエクスポートには10万行の上限があります。上限を超える場合は、対象期間や条件を絞ったり、重複しない条件に分けてエクスポートするなどの対応が必要です。また、データ探索は対象となるイベント数によってサンプリングされる場合があるため、分析時にはデータ品質を確認する必要があります。 ↩︎
サイトとの「関わり方」でユーザーを分類する
ユーザーの関わり方を見る際には「新規ユーザー/リピーター」「CVユーザー/非CVユーザー」といった分類が使われることがあります。しかし、再訪問しているからといって必ずしもサイトへの関与(エンゲージメント)が深いとは限りません。非CVユーザーにも積極的な関与をしたユーザーはいるはずです。
例えば、5回訪問しているものの期間中の総エンゲージメント時間が10秒しかないユーザーと、1回しか訪問していないものの10分間にわたって多くのページを閲覧したユーザーでは、サイトとの関わり方は大きく異なります。
そこで今回は、ユーザー単位の行動を主に3つの観点でサイトとの関わり方の異なるユーザー群に分類します。
- 関与の深さ:総エンゲージメント時間(ユーザーエンゲージメント)
- 継続性:セッション数
- 回遊の広さ:表示回数
これらを組み合わせ、次のようなユーザー群に分類します。この分類は利用者構造を把握するための初期的な整理です。
| ユーザー群 | 意味 |
|---|---|
| 高関与リピートユーザー | 期間内に複数回訪問し、総エンゲージメント時間が長い |
| 高関与単発ユーザー | 期間内の訪問は1回だが、総エンゲージメント時間が長い |
| 検討可能性ユーザー | 期間内に複数回訪問し、総エンゲージメント時間も一定以上 |
| 回遊探索ユーザー | 表示回数が多く、総エンゲージメント時間も一定以上 |
| 標準閲覧ユーザー | 他の特徴的な条件に当てはまらない一般的な閲覧 |
| 低関与リピートユーザー | 期間内に複数回訪問があるが、総エンゲージメント時間が短い |
| 低関与ユーザー | 総エンゲージメント時間が短い |
データを集計して最初にユーザー群別の人数と構成比を見ることで、「サイト利用者全体がどのような構成になっているのか」を把握できます。

さらに、分類したユーザー群ごとにキーイベント、トランザクション、購入収益などの成果指標を比較します。これによって、どのような関わり方をしているユーザーが成果につながっているのかを確認できます。「人数が多いユーザー群」と「成果につながりやすいユーザー群」が同じとは限らないこともわかります。


もちろん、この分類はすべてのWebサイトに共通するものではありません。BtoB、EC、メディアなど、サイトの性質によって適切なしきい値や見るべき行動も変わります。重要なのは7つの分類や名称ではなく、ユーザー単位のデータからサイトとの関わり方の違いに着目して利用者を見ることです。
また、この分類は対象期間によっても変わります。1カ月では単発訪問だったユーザーが、3カ月で見れば複数回訪問していることもあります。総エンゲージメント時間も期間に応じて増えるため、継続的に比較する場合は対象期間を揃えることが重要です。
分類すると、掘り下げるべきことが見えてくる
ユーザー群に分けると、それぞれについて次に何を確認すべきかが具体的になります。
- 高関与リピートユーザーが多い
→ 継続的に利用されている理由は何か
→ どのコンテンツを繰り返し利用しているのか - 高関与単発ユーザーが多い
→ 1回の訪問では深く閲覧されているのに、なぜ再訪問に至っていないのか
→ 再訪問のきっかけや理由、仕組みを作れないか - 回遊探索ユーザーが多い
→ 積極的に比較・検討しているのか
→ あるいは、必要な情報になかなかたどり着けていないのか - 低関与リピートユーザーが多い
→ なぜ何度も訪問しているのに利用が浅いのか
→ 特定情報だけを確認しているのか、目的の情報を見つけにくいのか
この段階ではどの解釈が正しいかはわかりません。しかし、サイト全体の平均値だけを見ていたときよりも「どのユーザーを対象にして何を詳しく調べるか」は明確になります。
例えば高関与リピートユーザーについて、流入チャネル、ランディングページ、閲覧ページや閲覧順などをさらに掘り下げることができます。
User-IDを利用しているサイトであれば、匿名ユーザーとの違いも確認できます。
- どのユーザー群にUser-IDユーザーが多いか
- 成果到達率に違いがあるか
- 総エンゲージメント時間に違いがあるか
- 購入収益への寄与に違いがあるか

こうした分析を重ねることで、「サイトに深く関わっているユーザーにはどのような特徴があるのか」を掘り下げることができます。
ユーザー群から、ユーザージャーニーやペルソナの仮説へ
注意したいのは、この分類からそのまま「ユーザー像」や「ペルソナ」がわかるわけではないことです。Googleアナリティクスから確認できるのは、Webサイト上で計測された行動です。
例えば、次のようなことはGoogleアナリティクスだけではわかりません。
- なぜサイトを訪問したのか
- どのような課題を抱えているのか
- 購入や問い合わせを決めた理由は何か
そのため、このユーザー群をそのままペルソナとして扱うのではなく、その後のユーザー理解を進めるための最初の整理として位置付けるのがよいと考えます。
今回のユーザー群を起点に、流入元、閲覧したコンテンツや閲覧順、成果までの行動を掘り下げます。さらに検索キーワードやCRM、アンケート、ユーザーインタビューなどを組み合わせることで、行動の背景について仮説を立てていきます。
例えば次のような仮説です。
- このユーザー群には比較検討段階のユーザーが多いのではないか
- この情報を確認するために繰り返し訪問しているのではないか
- このページ群が検討を進めるうえで重要なのではないか
そこから、ユーザージャーニーの整理、ペルソナの検討、コンテンツの見直し、サイト内の動線改善などへつなげていきます。
ステップ1:ユーザー群の構成を把握する
ステップ2:特徴的なユーザー群を選ぶ
ステップ3:ページ・流入・遷移を掘り下げる
ステップ4:行動の背景について仮説を立てる
ステップ5:定性情報と組み合わせる
ステップ6:ユーザージャーニーやペルソナ仮説へ
分析ロジックをツールとして繰り返し使える形にする
このような分析を行うために、「ユーザー群別 エンゲージメント分析ツール」というツールも作りました。先ほど紹介したキャプチャ画像は、そのツールからのものです。
GA4のユーザーエクスプローラからエクスポートしたデータを取り込むと、総エンゲージメント時間、セッション数、表示回数などをもとにユーザーを分類し、成果到達との関係も含めてその構成や特徴を確認できます。

このツール自体を作ることが目的だったわけではありません。分析方法や確認したい観点がある程度決まれば、毎回CSVを加工して同じ集計を繰り返すよりも、処理を小さなツールとしてまとめておく方が効率的です。その分、結果を見て次にどのユーザー群を調べるかを考えることに時間を使えるようになります。
分析ロジックがある程度固まれば、生成AIを使って小さな分析アプリとして実装することも以前より容易になりました。
ユーザー群の分類は、分析のゴールではなくユーザー理解を進めるための入口
今回の分析で重要なのは、ユーザーをいくつかのグループに分類すること自体ではありません。ユーザー群の分類そのものがゴールではなく、その後のユーザージャーニー分析やコンテンツ分析に進むための入口になります。
Googleアナリティクスのデータを見るときには、サイト全体の平均値やページ単位の数字だけでなく、「ユーザー単位」に戻ってみることです。すると以下のような視点が見えやすくなります。
- このサイトには、どのような関わり方をしている人たちがいるのか
- その中で、さらに詳しく調べるべきユーザーは誰なのか
そこから行動を掘り下げ、他のデータや定性的な情報も組み合わせることで、以下のような仮説を立てていくことができます。
- このサイトを利用しているのはどのような人たちなのか
- どのような状況でサイトを利用し、何を求めているのか
ユーザーエクスプローラは、個々のユーザー行動を確認するためだけのレポートではありません。ユーザー単位の行動集計データの集合として見ることでサイト利用者の構造を捉え、その先のユーザー理解を始めるためのデータとしても活用できます。今回紹介した方法は、そのための初期分析の一つです。
このような初期分析を起点に、ユーザージャーニーやコンテンツ、サイト内の動線をさらに掘り下げていくことで、サイト改善につなげられると考えています。
ご興味ございましたらご相談ください。
GAの活用体制づくり、ダッシュボード構築、既存の計測設定の見直しなどをサポートします。

